推しの舞台を、最前列で。学校作業療法士のやりがいと向いている人

「ありがとう、ゆいまわるさんのおかげです」
作業療法士にとって、この言葉はやりがいのいちばん分かりやすい形かもしれません。

でも、学校作業療法士のやりがいは、その「ありがとう」だけではありません。主役は先生とこどもたち。作業療法士は黒子として関わり、その関わりが先生や家族の中に根づいて、こどもの変化につながっていきます。

それでも、この仕事を選び続けている人たちがいます。
辞表を出そうとしていた先生の話、先生から生徒への手紙を配達した話、会議の10秒前に言ったことを先生がもう自分の言葉として話し出す瞬間。

この仕事のやりがいはどこにあるのか、どんな人に向いていて、どんな人にはしんどいのか。代表の仲間知穂(作業療法士)と関西拠点の土屋(作業療法士・公認心理師)が、具体的な場面で話しました。

イヒちゃん

1日の流れや働き方については、「学校作業療法士の1日」で紹介しています。

目次

「学校作業療法士をしていてよかった」と感じるのは、どんなときですか?

仲間:先生が教育を自慢してるときはやりがいを感じますね。
「こういうことしたら、こんなふうになったんだよ」とか。

あと、いちばん言われて嬉しい言葉は、「子育てがこんなに楽しいとは思わなかった」とか、「この子に明日早く会いたくなった」とか。すごい嬉しいですよね。学校においては先生とこどもたち、家庭においては親とこども。その主人公の人が「楽しい」って思えるっていうのは、すごいエンパワメントだから、最高に嬉しい。

土屋:私は又聞きも嬉しいです。校長先生に久しぶりに会えたときに、「この間、聞いたよ。担任の先生に、こういう話したんだって」とか言われて、学校の中で先生が又聞きしてるんだ、みたいな。

逆もありますけどね。本人に言われるより、周り巡って管理職の先生から言われるとズンってなるから。でも、そうやって自分たちのチームだけの話じゃなくて、他のクラスや学年の先生から「噂を聞きましたよ」って話しかけられたりとか。

あとは、年度替わりで先生たちが異動して、異動先の学校で再会できたとき。こどもの話でまた話せるんですよ。再会しても先生が胸を張れる状態でいてくれる、っていうのが嬉しいです。

「ドラマよりドラマ」。忘れられない場面はありますか?

仲間:やりがいの最上級版って、「やっぱり作業療法士でよかったな」って思えるとき、ちょっとやりがい感じちゃいますね。

実際あったけど、もう精神的に参ってしまって、辞表を出そうとしてた先生がいらっしゃったんです。最終的には、その先生がすごく楽しそうに授業をして、ちゃんと一年乗り越えて、こどもたちを育てあげていってる姿を見ると、やっぱり作業療法じゃなきゃこれはできなかったよねって。教師を選んだ先生が、教育のことで追い詰められてる。その状況が、むしろすごくやりがいを持てる教育に変わるなんてね。作業療法らしいって思いますね。

土屋:私が忘れられないのは、最初の訪問のとき、警戒されてた先生です。困ってはいるけど、かといって「外の人が何か役に立てるんですか」みたいな感じで。

その先生は、こどものことを悪くしか表現できないくらい追い詰められていて、喋るときにもう目が充血してるんです。でも、本当はそんなふうに喋りたいわけじゃない。今話してることを良しともしてないのが伝わってくるから、苦しくて。

そこから本当に週一で会議をして、先生とお母さんと本人がどうだったらいいかな、っていうのをみんなで考えていって。最初は「何からしたらいいんですか」みたいな感じだった先生が、行くたんびに、もう私の知らない作戦を試してるんですよ。
「これ、私、家からこの4つ折りマット持ってきたんですけど。パーテーションみたいになるんですけど」みたいな。先生がどんどん自分でアイディアを出してやっていって、厳しい表情がどんどん穏やかになっていくのを見ると、本当に心からやってよかったって思います。

ここで話している、先生や保護者が主役となり、作業療法士は黒子として支えるという関わり方は、ゆいまわるが大切にする「届けたい教育」の考え方につながっています。

先生・保護者・こども、それぞれの願いをどう共有し、チームで形にしていくのかは、ゆいまわるの理念のページで詳しく紹介しています。

先生とこどもの関係を、間近で見られる仕事でもありますよね。

ゆいまわるの学校訪問支援での作業療法士による分析の様子
学校訪問支援での作業療法士の分析の様子

土屋:そうですね。ほとんどもう卒業という状態のお子さんがいて、年度替わりで担任の先生が別の学校に異動されたんです。たまたまその学校に私も行ってて、そこで会えたときに「今度、卒業の会議なんですよ」って言ったら、「えー、ラブレター書いちゃおうかな。渡してくれますか」って。先生が生徒に渡すラブレターを、配達したことがあるんですよ。

あとは、引き継ぎを丸1日かけてすごい丁寧にしてもらったとか、私のいる会議で先生が「届けたい教育」って言葉を使ってくれてるとか。そういうのは、やってよかったなって思います。

病院の外来だと、ずっと一人のOTとして関わり続けるじゃないですか。学校だと、先生から次の先生へ引き継がれたり、自分が関わったものがその先に移っていく。そのときの充実感みたいなのは、病院ではなかなか味わいにくいかなと思います。毎年環境が変わるから、学校って。

仲間:いや、本当に。「また病院に戻れますか」って言われたら、難しいかもしれないですね。

どんな人が学校作業療法士に向いていると思いますか?

仲間:やっぱり、クライアントの人生がどうなっていくかっていうところに、絶対的な興味関心がある人でしょうか。そうじゃないと、あまりにも興味関心を向けなきゃいけないところが多すぎて、大変になっちゃいますね。

土屋:大変な仕事ではある、間違いない。負担は大きいなって思うけど、知穂さんがよく「推しの舞台を最前列で見れるんだ」って言うじゃないですか。推しの生活の場のいちばん近くに行って、推しの変化も最前列で見れる。それが楽しいって思える人は向いてますよね。

仲間:プレッシャーもあるけど、プレッシャーも気持ちよく思えないとね。

土屋:でも、だからといって、OTの全部の分野のエキスパートじゃないと学校に行けませんよ、ってことはなくて。今の自分が持ってる全てを使って、目の前の先生と本人のために知識を絞り出す。今の自分のマックスでお答えします、っていう姿勢があれば、基本的には「一緒に考えてもらえてよかった」ってなるから。

逆に、合わないかもしれない人は?

仲間:能力の話は、学べばいいからそんなに気にしなくていいんですけど。向いてないのは、直接「ありがとう」って言われることがいちばんの喜び、っていう人かもしれない。先生が「私、4つ折りマット持ってきて、こんなんしちゃったの」って言ってるのを見たときに、「あ、それ私の情報のおかげですよね」って言いたくなる人には、ちょっと辛いかも。

土屋:会議中にもありますよ。10秒前に私が言ったことを、先生がもう自分の言葉として話してる、みたいな(笑)。そういうのはすごく嬉しい。

仲間:そうそう。それを嬉しく思えるかですよね。

土屋:自分が直接手を下して変化をもたらしたことにやりがいを感じるか。それとも、自分はあくまでも黒子で、先生を通してその子が変わるとか、その子を通してクラスが変わるとかにやりがいを感じられるか。直接「ありがとう」って言われるわけじゃないけど、そこが自分の幸せだとか達成感って感じれる人はいいですよね。

仲間:あとは他者視点。相手の意図とか、相手がなぜこれをこんなにすごく訴えてるのかとか、相手の行動から何が求められてるのかっていうのを知る。その視点がないと、ちょっとすっとんきょうな目標が立っちゃいますから。

土屋:とにかく相手の価値観、その学校が大切にしている価値観を尊重できる人。自分の何かを売り込みたいとか、すぐに結果を出したい、みたいな人には向いてないかなと。

仲間:思う思う。すぐに結果を出したいんだったら、病院の方が向いてるかも。

土屋:一人で達成するよりも、みんなで達成した方が楽しい人の方が向いてるだろうな、って思いますね。

最後に、ゆいまわるで働くことの良さを教えてください。

YUIMAEARU株式会社の社内での研修の様子
月に数回ある社内研修・ケーススタディの様子

土屋:普通、保育所等訪問支援をしていると、その組織の中で訪問をやってるのは1人か2人、ということが多いんです。ゆいまわるには、同じように働いてる作業療法士が、ゆいまわる全体では訪問だけで10人いる。ケーススタディが充実してて、社内での勉強があるから、一人で抱え込まなくていい。そこはいいところですね。

仲間:あとはやっぱり、最善を尽くそうって思うのが会社の精神だから。最善=学び続ける、っていう意味では、社内研修がやたら多いですよね。グループワークっぽいから、受け身だとちょっと合わないかもしれないけど、学ぶことにすごくやりがいを感じる人には、これも面白い。

土屋:あとは、この学校作業療法のやり方を確立した仲間知穂が社内にいるっていう。ただ、仲間知穂が一つの正解と思って入ってみたら、本人が毎月どんどん進化していくじゃないですか。本を読んで、わーすごいと思って会社に入るけど、その本を書いた人がいちばんリアルに、毎月のように変化していく。だから一緒に進化しなきゃいけないみたいな。常に進化とか高みを目指していけるのが好きな人には、楽しい職場ですよね。

仲間:とはいえ、必ずしも仲間知穂の延長線上じゃなきゃいけないかっていうと、そんなことはなくて。ゆいまわるって、独自の発展を喜ぶじゃん。みんながやりたい発展が実現できるっていうのは、利点だと思います。

土屋:あと、訪問に限らず、特に沖縄では地元の地域交流とか地域向けのイベント、親御さん向けの座談会とか、いろいろやってるんですよ。今やってることがどういうふうに意味があるかな、とか。学校作業療法以外の形も一緒に検討していけるのは、やりがいかもしれないですね。

本当に、ケーススタディをすると、映画を見終わった充実感がありますもんね。「ドラマよりドラマ」って言うスタッフもいるくらい。

この仕事のやりがいは、直接の「ありがとう」の外側にあります。先生が自分の教育を自慢する。保護者が「この子に早く会いたくなった」と話す。廊下の立ち話や又聞きで、そのことを知る。主役の人たちが生き生きしていく様子をいちばん近くで見られることが、この仕事のいちばんの手応えなのかもしれません。

それを「推しの変化を最前列で見られる」と感じられる人に、この仕事は向いています。

ゆいまわるで一緒に学校作業療法を実践しませんか?

ゆいまわるの各拠点では、一緒に働く仲間を募集しています。

学校作業療法をやってみたい。
地域の中で子どもたちや先生たちと一緒に育ち合う仕事をしてみたい。

そうお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。見学・質問も大歓迎です!

\お気軽にお問い合わせください/

詳しい学校作業療法士の求人はこちらのページをご覧ください。

学校作業療法士の1日の流れは[学校作業療法士の1日]で、ゆいまわるの学校作業療法の考え方は[学校作業療法とは]で紹介しています。

目次