「見立て」から、支援が始まる

ゆいまわるの支援は、すべて「分析」から始まります。
学校訪問支援でも、療育でも、学校コンサルテーションでも。子どもの「いま」を丁寧に観て、なぜその行動が生まれているのかを読み解くこと。それが、私たちの仕事の土台です。
「ノートを書かない」という相談を受けたとき、私たちがまず考えるのは「どうすれば書かせられるか」ではなく、先生がその書くという作業に求める『届けたい教育』です。
『苦手なことにも努力する姿勢から、認められる経験につなげたい』この先生の届けたい教育を、この子の力でどうしたらできるのかを分析する。これがゆいまわるの分析です。
その子はどんな姿勢で座っているのか。鉛筆をどう握っているのか。教室のどんな音や光が気になっているのか。先生の声は、どこまで届いているのか。
ゆいまわるは『届けたい教育』ができるカタチを子ども・先生・親がデザインできるための分析をします。
分析の考え方

『届けたい教育』を叶えるための分析
一般的に、専門家が現場に入ると「問題の原因を特定して、解決策を提示する」ことが期待されがちです。
ゆいまわるを立ち上げる以前、代表の仲間がまだ一人でボランティアとして学校を訪問していた頃もそうでした。 病院で作業療法士として働いていた仲間にとって、問題の原因を分析し、対処方法を伝えることは専門家としての使命でした。
学校に足を踏み入れるようになった当初、子どもたちの「噛む」「逃げる」といった行動を目の当たりにして、 その原因を先生に伝えなければという使命感に駆られたことがあります。でも、その情報が先生を追い詰めてしまうこともありました。
「私の担任としての仕事が十分ではないと評価された」
あるとき、率直にそう打ち明けてくださった先生がいました。
専門家が情報を提供するということは、先生にとっては「活用しなければならない責任」を負うことでもある。
どれほど正確な分析であっても、先生が安心して受け取り、自由に活用できなければ、その情報は現場で活きない。
仲間はこの経験を通じて、専門家が先行する姿勢から離れていきました。
ゆいまわるの分析の考え方は、この学びの上に築かれています。
「届けたい教育」の
実現を目的とした分析
ゆいまわるでは、先生や保護者に「その子に届けたいことは何ですか」と尋ねるところから始めます。
先生がしたいことは何か。保護者が望む暮らしは何か。子ども自身がやりたいことは何か。
その「届けたい教育」が明確になってから、それを実現するために何を評価し、どんな情報を共有するのか——目的と評価のつながりを、先生と事前に共有します。
「先生の『○○(届けたい教育)』を叶えるために、授業のなかでこの子の様子を見させてください。見てわかったことは、先生の届けたい教育に活かせる情報としてお伝えします」
何のための評価なのかを見失わず、その合意が先にあるからこそ、分析の結果が現場で活きるものになります。
「活動」ではなく「工程」で見る。
分析の具体的な方法
できること・できないことを
工程単位で分解する
ゆいまわるの分析の特徴のひとつに、子どもの活動を「工程(行為)」の単位に分解して見る、という方法があります。
たとえば、「友達と休み時間に楽しく遊ぶことができる」という目標があったとき。これをひとつの「活動」としてまとめて見てしまうと、「できる/できない」のどちらかでしか捉えられません。
でも、この活動を工程に分けると、次のようになります。
ひとつずつ見ていくと、「友達の遊びには興味がもてないけれど、自分の好きなことには集中できる」「年下の子には優しくできる」「ゲームの話になると友達の輪に入っていける」といった「できていること」が見えてきます。
「できること」を増やすという視点

できないことを減らそうとすると「注意して、反省を促して、失敗しないように学んでもらう」というアプローチになりがちです。
でも、できることを増やそうとすると、できていることを伝え、自信をもたせ、より活躍できる機会をつくる、というアプローチになります。
先生も子どもも、後者のほうが楽しく取り組めて、いい関係が築きやすい。これは経験から確信していることです。
ある小学校4年生のクラスでは、おしゃべりや授業拒否が多く、先生は「子どもたちが楽しく主体的に授業に参加してほしい」と願っていました。分析を通じて、子どもたちが座ることに過剰な努力を必要としていること、本当は活躍したくて、「自分が発表したい」という思いを持っていることがわかりました。
そこで先生は、座ることをがんばらせるよりも、「発表したい」という思いを増やすために、授業中に何度も動いて立って移動する授業スタイルをつくりました。
座ることへのストレスが減り、発表できる機会が増え、半分以上の子どもたちが挙手するクラスに変わっていきました。
こうして届けたい教育を「どうしたらできるか」とできることを増やす視点で関わることを大切にしています。
専門的な視点で何を見ているのか

身体の仕組みから行動を読み解く
子どもの行動には、その背景に身体的な特性があることが少なくありません。ゆいまわるでは、行動の「表面」ではなく、その行動を支えている身体の仕組みに注目します。
たとえば、集団活動が始まる雰囲気になると急に活発な行動を始める子ども。一見すると「落ち着きがない」「集中できない」と見えるかもしれません。
でも、作業療法の視点で見ると、別のことがわかります。
この子は、友達と協調的に動くための身体の準備——姿勢の制御や、動きのタイミングを合わせる力がまだ十分に育っていない。「しないといけない」というルールは理解しているけれど、身体がついていかない。
これまでの集団活動での失敗体験から「できないかもしれない」という不安が先に立ち、それを避けるために一人遊びにつながっている。
本当はルールを守って先生や仲間といっしょに過ごしたいという願いがある。その願いに気づけるかどうかが、その後の関わり方を大きく変えます。
感覚の受け取り方は、一人ひとり違う

教室という環境は、大人が思っている以上に「刺激」にあふれています。蛍光灯の光、校庭からの声、隣の席の子の動き、チャイムの音——
こうした刺激の受け取り方は、子どもによって大きく異なります。
- 刺激に気づきにくく、ぼーっとして見える子
- 些細な音や光に過剰に反応し、不安を感じやすい子
- 常に動き回り、刺激を求める子
これは「性格」や「しつけ」の問題ではなく、その子の神経の特性です。ゆいまわるでは、こうした感覚の特性を専門的に評価したうえで、「がんばらせる」のではなく「環境を調整する」提案を行います。
椅子の高さを変えるだけで姿勢が安定する子もいます。掲示物を減らすだけで集中できる時間が伸びる子もいます。その子が安心して力を発揮できる環境を、先生と一緒に見つけていくこと。それが、私たちの分析の先にある仕事です。
環境を変えれば、できることが変わる
作業療法の考え方の根本には、ひとつの重要な視点があります。その人の機能が足りなくても、環境を調整すれば、期待されている活動をこなすことができるということ。
足の感覚が弱く、転倒リスクがあった幼稚園の女の子。クラスで竹馬の練習が始まったとき、この子は缶ポックリで別メニューを練習していました。友達は彼女を気にすることも、話しかけることもない日々が続いていました。
先生が本当に届けたかったのは、「子どもたちが協力し合うクラスをつくりたい」ということ。
分析の結果、彼女は足の感覚は弱いものの、手の力はしっかりしていて、足を動かす力もあることがわかりました。先生たちは用務員さんと一緒に、この子の力を活かせる竹馬——足場を安定させ、棒を細くして持ちやすくした、オリジナルの竹馬をつくりました。
「これ使っていいの?」と竹馬を見たこの子に、友達が「いいねその竹馬!」と話しかけ始め、乗り方やジャンプの仕方を教えるようになりました。
「できなければいっしょにやればいい」
「遅ければ待ってあげればいい」
「僕たちが手をつないで歩けばいい」
子どもたちからそんな言葉が出てきたとき、先生が届けたかった教育は、実現に向かっていました。
伝え方にも、『技術』がある

先生の言葉で、先生に届ける
ゆいまわるでは分析結果を伝えるとき、専門用語ばかりではなく、先生が普段使っている言葉でお伝えするようにしています。
たとえば「多動」という言葉。同じ状態でも、「元気がある」「落ち着きがない」「騒がしい」「頑張っているけど我慢しきれない」。先生が普段使っている言葉はさまざまです。
これは単に「わかりやすくする」だけでなく、先生が使い慣れている言葉で情報を受け取ると、それは「特別な対応」ではなく「日常の工夫」として扱えるようになるという意図もあります。
反対に、「注意が向いてしまっているんですね」と私たちが表現すれば、落ち着きのなさはその途端に「症状」として意識されてしまう。先生がそれまで自然に行ってきた関わりに「これでよかったのだろうか」と疑問を抱かせてしまうこともあります。
先生に安心して先生の教育を届けていただけるよう、ゆいまわるは届け方を一緒にデザインしていきます。
情報の「伝え方」と
「量」と「タイミング」
分析でわかったことをすべて一度に伝えてしまうと、情報が多すぎて戸惑ってしまうこともあります。
先生が「そうか!」「じゃあこうしてみよう」「やってみよう!」と情報を自由に活用できるよう、伝え方と量とタイミングに考えを巡らせるのは、ゆいまわるの情報共有における基本的な姿勢です。
そしてこの伝え方と量とタイミングは、ゆいまわるが社内で研鑽を積む『技術』でもあります。
先生から発信された情報が形づくられ、先生自身が「次の授業ではこれを取り入れてみよう」と選択し行動する。
その結果として子どもの成長を実感できることが、先生のエンパワーメント、つまり自信をもって教育を届けていく力につながっていくのです。
多職種の目で、多角的に

ひとつの行動を、
複数の専門性で読み解く
ゆいまわるの分析の大きな特徴は、複数の専門職が異なる角度から同じ子どもを観ることにあります。
作業療法士(OT)は、体の使い方の土台を見ます。姿勢を保つための筋力、感覚の受け取り方、手先の動かし方——「座る」「書く」「聞く」という日常の動作を支えている身体の仕組みに注目します。
言語聴覚士(ST)は、ことばとコミュニケーションの視点で見ます。言葉の理解や表現、読み書きの力、人とのやりとりのパターン——その子が情報をどう受け取り、どう返しているかを分析します。
たとえば「食べるのが苦手」という相談があったとき。口の動きだけを見れば飲み込みの問題に見えることがあります。でもOTと連携して体全体を見ると、「そもそも食事中の姿勢が安定していない」「体幹の筋力が足りないから、口の動きにも影響している」という、もっと根本的な部分が見えてくることがあります。
いきなり「できないこと」を訓練するのではなく、まず身体の土台を整えてから、細かな調整に入る。この順番を見極められるのは、複数の専門職が連携して分析しているからこそです。
チームで底上げする仕組み
ゆいまわるで定期的に開かれるケース会議では、担当者が抱えている迷いや躓きをチームに共有し、異なる職種の視点からフィードバックを受けることができるのが特徴です。
「この子の行動をどう読み解くか」「情報をどう届けるか」を一人で抱え込まず、チームの知見・技術として積み上げていく。この文化が、担当者が誰であっても技術品質を保ち、上げ続けることにつながると信じています。
療育でも、学校でも
ゆいまわるの支援サービスに共通する「分析」という土台
この分析の考え方と仕組みは、特定の支援サービスに限らず、多岐にわたって活きています。

学校訪問支援
学校訪問支援では、教室の環境や先生との関係性の中で子どもを観察し、チーム会議を経て「届けたい教育」の実現に向けた手立てを一緒に考えます。観察→分析→チーム会議→実践→改善という一連の流れの中で、分析は支援の方向を決める要になっています。

療育(児童発達支援)
療育では、OTとSTとPTと保育士がそれぞれの専門性を活かしながら、遊びや活動の中で子どもの力と課題を多角的に捉え、身体の土台づくりから始めて、日々の関わりに反映していきます。

学級経営コンサルテーション
(行政委託)
学級経営コンサルテーションでも、先生からの相談に対して、行動の背景を丁寧に読み解き、学級全体の環境調整につなげるための分析を行います。
どの支援サービスを通じても、ゆいまわるの「分析」が支援の基盤にあります。
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