生徒に寄り添える関わりが増えた|横須賀市・公郷中学校の先生インタビュー

誰もいない明るい中学校の教室に並ぶ机と椅子と黒板

横須賀市の公郷中学校では、横須賀市教育委員会を通じた「おためしまちOT」のモデル校として、2025年11月からゆいまわるの作業療法士が先生方と一緒に子どもたちの様子を見ながら、支援や関わり方を考える取り組みを続けています。

5回目の訪問となった2026年8月、二人の先生方に、ゆいまわるSHONAN責任者の蓮川嶺希(作業療法士)がお話を伺いました。

これまでの歩みは、校長対談の記事で紹介しています。

学校で先生方と作業療法士が協働するようになってからの変化を話してくださいました。

目次

作業療法士が関わって、子どもたちの見方や関わり方に変化はありましたか?

A先生:日頃から丁寧に見守ってきた生徒たちを別の視点から見ていただき、研修の場でも共有していただきました。もともと私たちも、何かに困難さを抱えているのだろうなというのはぼんやりとはわかっていました。でも具体的にどこに困っているのかというのは、なかなかわからずにいました。そこがクリアになって、生徒のために何ができるのかがわかったのがすごく大きかったです。

あとは、生徒に寄り添える関わりが以前より増えた気がしています。困難さの背景がわかったからだと思います。いろいろな生徒についての話が職員室で増えたのも大きな変化だと思います。

蓮川:ありがとうございます。なんでできないんだろうという疑問が、そういうことだったんだとわかると、生徒への理解も深まりますよね。

A先生:こちらも背景がわからず、わかればもっと寄り添えるのではないかと思っていました。なんで困っているんだろうとなっていた部分がわかったことで、向き合い方が変わった感じがしています。

支援級から見て、専門家に何を求めていましたか?

B先生:私は支援級を担当しているので、支援学校のほうから作業療法士や言語聴覚士の方に巡回相談などで来ていただいて、椅子のサイズなど、環境整備の具体的なアドバイスを受けることは過去にもありました。

私が日頃から難しいなと思っているのは、どんな合理的配慮を提供できるかは、スタート地点での私たち教員側の見取りやアセスメントが間違っていたら全部が違っていくということです。最初の見取りで勘違いをしていると、それが全部ちょっとずつずれて、生徒たちを困らせていくことにもなりかねません。一番大事なのは、一番最初の見取りをいろいろな先生の視点から捉えて解像度を上げていくことだと思うのですが、そこが難しいなと思っています。

ベテランの先生ほど感覚でそういうことがやれているところがあります。属人化しないためには言語化が必要になってきます。それをどうしたらいいのかなと思っているときに、ゆいまわるさんに学校に来てもらいました。本当にちょっと授業を見てもらっただけで、それが正確なのか私たちに判断できるかはともかく、少なくとも私たちの感じている生徒たちの特性や困り感にすごくしっくりきたんです。

保護者の方は、学校と家での様子の違いがわからないケースもあります。「こういうところで困っていると思うので、こういう支援をしていきたい」と我々が伝えやすくするためには、ゆいまわるさんに教えてもらっているようなものを手がかりにしていくといいんだろうなと感じました。

作業療法士ならではだと感じた視点はありますか?

教科書を開いて授業を受ける中学生の手元

B先生:生徒の「姿勢」や「目線」は、私たちも日々子どもたちと関わる中で、なんとなく気づいていることはあります。でもゆいまわるさんの話を聞くと、「そういうことなんだ」とすごく腑に落ちるものがあります。

A先生:行動としては見ていてわかってはいたけれど、それが生徒たちの困りごととリンクしているとは思っていなかったので、「なるほど、この行動にはこういう背景があるのか」という納得感はすごくあります。

B先生:しかも、その視点は狭い範囲だけではなく、ほかのケースを見るときにもつながっていくんですよね。一つの事例について教えてもらったことが、クラスの子どもたちを見る視点にも広がっていくというか、一気に視界が開ける感じがあります。膨大な知見というか経験から来ているものだと思うのですが、そこがすごくフィットする感じがします。

「届けたい教育」を軸に話すことを、教員の立場でどう感じましたか?

蓮川:ゆいまわるの学校作業療法では、お子さんの何がSOSなのか、どうしたら先生の届けたい教育が届くのかを軸にお話ししています。今回そういうスタイルを経験されて、教員の立場で感じるところはありますか?

B先生:自分にとって「届けたいものは何だろう」と考えると、教員のミッションとして、絶対的に受け持つ生徒の側に自分は最後までいる、というのがあるだけなんです。「生徒にはこういうふうになってもらいたい」とか、「就労に向けてこういう力を中学生のうちからつけてもらいたい」とかはあるんですけど、「こういうのを届けたいんだ」みたいな特別なものがあるわけではないので。

支援級の生徒たちが、誰かの役に立っていると実感できたり、自分の人生を幸せだと思いながら生きていってほしい。

ゆいまわるさんの研修を受けている時の私のモチベーションは、自分が見立てた生徒たちの姿は間違っていないんだということ。でもそれを伝えるときにこういう言葉を使えば、保護者にも同僚の先生や若い先生たちにも伝わりやすいんだな、ということを勉強させてもらえることです。

A先生:私自身が教員として大切にしているのは、私と関わることで生徒の将来が少しでも幸せになってくれればいいなということです。そのための届けたい教育というのは、一人ひとり、生徒によって違うと思います。幸せになってほしいという目的があって、そのためにこの子に届けたい教育って何だろうと考えるきっかけにもなったなと思っています。

目の前の子どもを見る視点を重ねていく

窓から光が差し込む中学校の廊下

A先生とB先生のお話からは、先生方がもともと持っていた感覚や願いが少しずつ言葉になっていく様子が伝わってきました。これからもその過程に一緒に関わっていけたらと思います。

お忙しい中、お時間をつくってくださった公郷中学校のA先生とB先生、そして今回の機会をつくってくださった横須賀市教育委員会の皆さま、本当にありがとうございました!

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