2026年7月5日に開催された「九州作業療法学会2026 in 沖縄」において、YUIMAWARU株式会社 代表取締役・作業療法士の仲間知穂が、教育シンポジウムのシンポジストとして登壇しました。
本シンポジウムでは、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 教授・岩永竜一郎先生とともに、
「先生と子どもの“作業”を支える学校作業療法 〜学校という現場で、専門性はどう生きるか〜」
をテーマに、学校作業療法における作業療法士の専門性や、これからの可能性について議論しました。
ゆいまわるが日々実践している学校作業療法については、こちらでも詳しくご紹介しています。
九州作業療法学会2026 in 沖縄「学校作業療法」教育シンポジウム
学校作業療法は現在、全国各地で実践が広がっています。
今回のシンポジウムも、異なる方法を比較して「どちらが正しいか」を議論することが目的ではありませんでした。
それぞれ異なる実践を積み重ねてきた二人の作業療法士が学校作業療法を語ることで、
学校という教育現場において、作業療法士の専門性とは何なのか。
その本質を参加者のみなさんとともに考えることを目的として企画されました。
開催までには複数回の打ち合わせを行い、当日のクロストークで何を問い、何を議論するのかについても細かく検討を重ねました。
学校作業療法の2つの実践から見えてきた共通点

岩永先生は、長年にわたり学校作業療法の研究・教育・実践を牽引され、評価や作業遂行分析、エビデンスを基盤とした支援を数多く実践されています。
一方、仲間は学校現場において「届けたい教育」という考え方を中心に据え、教師・子ども・保護者との対話を重ねながら、教育という「作業」をチームでデザインする学校作業療法を実践しています。
一見すると、両者のアプローチは異なっているように見えるかもしれません。
しかし、対話を重ねる中で見えてきたのは、目指している方向は同じだということでした。
評価をすることも、作業遂行分析を行うことも、対話を重ねることも、それ自体が目的ではありません。
専門家が自分の知識を示すためでもありません。
教師や保護者が安心して子どもと向き合い、自分たちで支援や教育を考えられるようになること。
そして、子ども自身がより豊かな学校生活を送れるようになること。
この「クライアント中心」という作業療法の根幹にある価値観は、アプローチの違いを越えて共通するものでした。
学校現場における作業療法士の役割をクロストーク
当日のクロストークでは、参加者のみなさんからの質問も交えながら、
- 学校という専門職集団の中で、作業療法士はどのような役割を担うのか
- 評価や観察から得られた情報を、教師や保護者へどのように届けるのか
- 作業療法における「クライアント中心」とは何を意味するのか
- 作業療法士の専門性と教師の専門性は、どのように協働できるのか
- 作業療法士が学校現場に入ることで、教師や学校全体にどのような変化が生まれるのか
といったテーマについて議論しました。
特に二人の考えが重なったのが、「評価結果を伝えること」が目的なのではないという点です。
評価や観察を通して、教師が子どもの姿をこれまでとは違う視点から理解できるようになる。
その理解をもとに、教師自身が「では、この子にどう教育を届けようか」と考え、実践できるようになる。
そこまでを支えることも、学校現場における作業療法士の大切な専門性です。
ゆいまわるの学校訪問支援(保育所等訪問支援)でも、作業療法士が一方的に支援方法を提示するのではなく、先生や保護者と一緒に「届けたい教育」を考えることを大切にしています。

ゆいまわるが目指す学校作業療法

ゆいまわるでは、学校作業療法を、
「届けたい教育という作業をチームでデザインし、そのプロセスを通して、その教育に関わるすべての人の健康を育む実践」
と捉えています。
私たちが目指しているのは、子どもの「できないこと」を改善することだけではありません。
教師が本来届けたい教育を実現できること。
保護者が安心して子どもの成長を見守れること。
そして子ども自身が学校生活の中で、
「できた」
「参加できた」
「認められた」
という経験を積み重ねられること。
そのために、作業遂行分析や対話を通して、子どもだけを見るのではなく、教師や保護者、学校という環境や組織まで含めて考えます。
学校の先生と一緒に学級全体の環境や関わり方を考える学級経営コンサルテーションも、そうした学校作業療法の実践の一つです。

学校作業療法について改めて考える機会に
今回のシンポジウムは、ゆいまわるの学校作業療法について発表する機会であると同時に、私たち自身が「作業療法の専門性とは何なのか」を改めて考える貴重な時間となりました。
方法や言葉が違っていても、子どもや先生が望む未来へ向かうために専門性を使う。
そのために、具体的な分析と、対話の中から描く未来を行き来する。
今回の議論を通して、学校作業療法が持つ可能性を改めて感じることができました。
このような機会をいただきました九州作業療法学会関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
また、本企画への参加をご快諾くださり、企画段階から何度も議論を重ねながら、ともにシンポジウムを創り上げてくださった岩永竜一郎先生に、深く感謝申し上げます。
YUIMAWARU株式会社ではこれからも、学校や地域のみなさんと一緒に、それぞれの場所に合った学校作業療法を考え、実践していきます。
学校作業療法に関心をお持ちの方へ、お立場ごとにご案内します。
保護者の方
保育所等訪問支援は、お住まいの地域に対応する事業所があれば利用が可能です。
まずは市町村の窓口や相談支援専門員にご相談ください。

自治体の方
地域の現状に合わせた導入方法をゆいまわるが一緒に考えます。
南風原町のような包括的なモデルもあれば、巡回相談から始めるスモールスタートもあります。まずはお気軽にお問い合わせください。

作業療法士の方
学校作業療法に興味のある方に向けて、研修や放課後ラジオなど、学べる場を用意しています。ぜひご参加ください。


