2026年8月24日、鎌倉市教育委員会主催の令和8年度三校合同研修会で、YUIMAWARU株式会社代表の仲間知穂が講師を務めました。
会場となった鎌倉市立御成小学校のランチルームには、御成小学校・稲村ケ崎小学校・御成中学校から70名以上の教職員の皆さまがお忙しい中集まってくださいました。
テーマは「 「届けたい教育」をみんなに ~その子が「できる」「できそう」なことを、先生や保護者と一緒にデザインしていくために~ 」。
講義と二つの演習を通して、一人ひとりが参加できる学級づくりと、保護者と安心して連携するための面談について、先生方と一緒に考えた研修を振り返っていきたいと思います。
先生も安心して教育を届けられるように

研修の目的には、「すべての子どもを学校全体で支え、9年間を通して、だれもが安心して学ぶための具体的な学習環境づくりや支援の方法を、インクルーシブ教育の視点から学ぶ」と掲げられていました。
いろいろな子どもがいる学級で、学級全体を運営しながら一人ひとりに関わり、さまざまな意見の間に立ちながら、保護者との連携も進めていく。
事前のお話からは、先生方が熱心に学び、努力を重ねていても、苦しさのほうが先に立ってしまうことがあるのだと感じました。
子どもたちの学びを考えるとき、先生方が安心して、やりがいを持って教育に取り組めることも大切にしたいと思っています。
多様な子どもたちを安心して教育していくために、どうしたらいいのか。
演習のグループは、3校の先生方が混ざるように編成されました。
子どもにどんな経験を届けたいのか


学校作業療法で大切にしているのは、先生や保護者の「届けたい教育」に焦点を当てることです。
例えば、授業中の離席が気になるとき。その子にどうなってほしいのか、そして、それはなぜ大切なのかを考えていきます。
学習内容に興味を持って「わかった!」という経験をしてほしい。
自信をつけてほしい。
わからないときには先生や友達に聞き、安心してチャレンジしてほしい。
そうして言葉にした願いが、子どもに届けたい教育になります。
気になる行動を入り口に、その先にある教育の目的を確かめる。
その目的を先生や保護者と共有することで、何のために情報を集め、どんな工夫を考えるのかが見えてきます。
講義では、友達と一緒に竹馬に挑戦するケースもお伝えしました。
ご紹介したケースでの竹馬という活動には、できるようになることに加えて、友達と練習し、同じことに挑戦する仲間として学級に参加する意味がありました。
大切なのは、学校に「居られる」ことではなく「参加できる」ことです。
届けたい教育を目標に置き、その子の力、活動の内容、学級の環境を見ながら、「できる」をデザインしていく。
これが、私たちの学校作業療法の基本的な考え方です。
演習①|子どもの視点から学級をデザインする
学級づくりの演習では、実際の学級を思い浮かべながら、一人ひとりが参加できる学級づくりを事例をもとに考えました。
取り上げたのは、授業中に手遊びが続く場面、列に並ぶことが難しい場面、教室に入ることに不安がある場面などです。
そのうえで、子どもの視点から学級を見直します。自分の身体の位置や動きをどう感じ取っているか、まわりの刺激をどう受け取っているか。そうした視点も、参加しやすい環境を考える手がかりになります。
研修では、身体の感覚を体験するワークも行いました。


目を開けていても閉じていても、離れた位置から動かした指先が正面でぴたりと合う。先生方にもご自身の身体を動かしていただき、感覚や脳神経の働きの不思議に触れていただきました。
学級づくりのグループワークでは、先生方から経験談やアイデアが次々に出てきました。
研修後の振り返りでは、ゆいまわるSHONANのスタッフからグループでのやりとりも聞きました。
小学校の先生の経験談を受けて、中学校の先生がその後の様子を共有し、では小学校のうちに何ができるか、という話につながっていたそうです。
三校の先生方が混ざったことで、学校を越えて子どもたちの育ちを考える機会にもなっていたように感じます。
そこで私は、届けたい教育がかけらでも叶うと、そこから子どもたちの学びや関わりが広がっていく、という考えをお話ししました。
「だったらまずは叶えることを考えていいんだ」と、頷きながら聞いてくださる先生方の姿がとても心に残っています。
届けたい教育に焦点を当てることは、先生方がすでに持っている力を学級で発揮するための、一つの入り口になるのではないかと感じました。
演習②|保護者と安心して連携するための面談


もう一つの演習では、先生役と保護者役に分かれ、付箋を使いながら、その子に届けたい教育を一緒に話し合いました。
はじまりは「宿題を出さない」といった困りごとからです。
研修後にスタッフと振り返ると、この問いに先生方が立ち止まり、ゆっくりゆっくりと言葉をつないでいた様子も話に出ました。「自分ってこんなふうに思っていたんだ」という気づきにつながっていたのではないかと感じています。
自分は何のために宿題を出していたんだろう。
なぜ授業中に落ち着きがないことを気にしていたんだろう。
その先にある、子どもに届けたい教育を改めて言葉にしていきます。
スタッフからは、ある先生が「問題として扱わなくていいのが、こんなに楽なんだ」という趣旨のことを話していたとも聞きました。
問題を解決するため、どうにかするために伝えなければと思うと、情報を共有することも重くなってしまう。
ここで共有する情報は、届けたい教育を実現するために、どうしたらよいかを考えるためのものです。
今回の練習では、先生役も保護者役も、子どものことを中心に笑顔で語り合っていました。その姿が、とても印象に残っています。
管理職の先生方からも、面談のワークについてお話をいただきました。
本当は教育を届けたいのに、どうしても目の前の問題をどうしようとなり、保護者にもそこだけを共有してしまう。面談のなかで、目の前の問題を入り口に、もう一度、自分が届けたかったことは何だろうと話せるのがよかった、という趣旨のお話でした。
先生方が、ご自身の届けたい教育を改めて言葉にする。今回の面談のワークは、先生方が本来持っている思いや力を、もう一度確かめる機会にもなっていたのではないかと感じています。
鎌倉市から、学校・家庭・地域との関わりをさらに広げて
今回の研修は、鎌倉市教育委員会からの依頼を受け、インクルーシブ教育を進めるための外部専門家として、私たちが関わる取り組みの一環です。
インクルーシブ教育とは何か、忙しい先生方がどこにエネルギーを注げばよいのか。
全国的にもまだ手探りのなかで、先生方は日々の実践を重ねています。
先生方が届けたい教育を言葉にし、経験やアイデアを持ち寄る。
その時間をご一緒するなかで、学校や家庭、地域と一緒に考えていけることが、まだたくさんあると感じました。
これからも研修や学校訪問を重ねながら、一人ひとりが参加できる学級や学校のあり方を、先生方と考えていきたいと思っています。
鎌倉市での関わりを深めながら、学校・家庭・地域で教育を育む取り組みを、さらに広げていきたいと思います。
日々の実践や工夫を共有してくださった御成小学校・稲村ケ崎小学校・御成中学校の先生方、そして今回の研修の機会をつくってくださった鎌倉市教育委員会の皆さま、本当にありがとうございました!
これからも、子どもたちに届けたい教育を一緒に考えていけることを楽しみにしています。


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保護者の方
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